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■ 手織りの仕事
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長い歴史と先人たちの経験と知恵に裏付けされた着物や帯の形、染織技術などは織り手にとっては勉強になることばかりです。残念ながら和装は多くの人にとって日常生活から少し遠ざかった存在になってしまいましたが、その仕事は変わらず奥が深く偉大で、今でも伝統織物として引き継がれています。 生活の中で使われ、愛されるものを織ってゆきたいと思う時、現代の自由な手織りのあり方もまた魅力的です。ショール、スカーフ、テーブルセンター、タペストリーなどなど、布の可能性は広がります。
まず、素材そして糸を選ぶことから手織りの仕事は始まります。織られる布が使われる季節や用途などによって主となる素材を決めるのです。デザインを決めたら次は植物染料、いわゆる草木染めによる糸染めです。身近にある植物を採集し染めるのですが、どの色も優しく、美しく、まさに自然からの贈り物だと思わずにはいられません。 糸を織機に上げて織り始めるまで、手織りにはいくつかの工程があります。それらは地味な作業でありながら、手織りの質を決定する大切なものです。全ての準備が終わり機の前に座る時の心地よい緊張感は言葉にできません。後は無心になって織ってゆくだけです。織り上げて機からおろした状態で見る布たち、例えばショールやスカーフはまた違う印象で、面白かったり、次への課題の発見になります。
なぜ手織りなのか、と作り手として考えることがよくあります。糸を紡ぎ、染め、織り、一見素材を利用するという一方的な活動のようですが、実はそうではなくて、いつも糸と、素材と相談しながら仕事を進めているような気がします。素材そのものの持つ美しさを失うことなく仕上がったショールやスカーフたちを見ると素直に喜びが込み上げてくるのです。
上手にショールやスカーフを使いこなされている方を見かけると、”あぁ、素敵だな”と思います。ショールはなんの違和感もなくその方の思い通りに使われているのです。さり気なく、何気なく、の中に私はその方の細やかなこだわりを感じてしまいます。
作り手としての、こうであってほしい、という気持ちも手伝うのでしょうか、ショールも自分は脇役であるという立場を知りつつ、その方のこだわりにしっかりと答えているように見えます。私のショールやスカーフも使われる方とそんな関係でいられるようにと、1枚1枚心を込めて織ってゆきたいと常に思っています。 |
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